

今回は以下のような方に向けておおくりします。
・シングルマザー、シングルファーザーと結婚してうまくいくのかいかないのか気になっている人
・連れ子がかわいくない人
・継子との接し方がわからない人
今回の話題は「「連れ子が邪魔で可愛くないのは当たり前?」シングルマザー,シングルファーザーと結婚するのは前途多難」という話です。
連れ子に対して可愛くないよなって感じている人は結構いる気がします。
その気持ちがエスカレートして連れ子を虐待してしまうなんて、惨劇すらちまたでは起こっているようですな。
ただまあ、個人的にはこういうのって完全に他人事なんだけど、加害者側の親に「おい、あんたちゃんと子供の面倒見る気で結婚したんちゃうんけ?」みたいな事を言いたくなるものです。
子供に罪なんて基本ないんでね。
理不尽やん。
ただ、こういった実子ではない子供を育てる親の「連れ子がかわいいとは思えない」という心理も動物行動学的な見地からは「割と一理あるのではないか?」と思わんではないですね。
決して倫理的には正当化されるべきもんじゃないんだけどさ。
やはり、「他人の子供を自分の子として育てる」っていうのは「相当な覚悟が必要なことだ」って思いますね。
もしシングルマザー、シングルファーザーと結婚したい人がいるなら、「相当な覚悟をもって結婚してください」。
そんな感じです。
では、まいる。
連れ子を育てるのは生物的には至難の業?
あくまで「生物の一種」として人を見たとき、断定はできないものの、男女が自身の結婚相手の連れ子を快く思わないのは当たり前のことかもしれません。
自分と血縁関係のない子供を育てるということは「自分の遺伝子を残す」という観点からしたら、「完全なる資源の無駄使い」といえますからね。
本能側の本音としては、「自分と血縁関係のある子どもを作ってその子供に資源を集中させたい」はずです。
そういった意味では、「連れ子は邪魔以外の何物でもない」のですね。
こう考えると、実子が生まれてから急激に連れ子にきつく当たる人達が、世の中に多いのも何となく納得できるというもの。
ま、決して倫理的に許容されるべきものではないですけどね。
で、自然界では、子供に対するこのような資源の分配に関しては、かなりシビアな事例があります。
それは「子殺し」です。
※全ての動物が子殺しを行う訳ではない。また、同じ種であっても生息する環境等によっては子殺しを行わない。
子殺しを行う代表的な動物としては、ライオンとハヌマンラングールが挙げられます。
まず、ライオンについてです。
ライオンはネコ科の動物でありながら群れて生活する異例の存在なんですね。
ライオンは群れ(プライドという)は、1~4頭の大人のオスと4~6頭の大人のメス、そしてその子どもたちから構成され、その群れの中で育ったオスライオンは群れを追い出され放浪をはじめるといいます。
※この追い出された個体は「ハナレオス」と呼ばれる。
そして、ハナレオスは適当な群れを見つけて、その群れのボスへと戦いを挑みます。
その結果、ハナレオスが勝利するとそのハナレオスがその群れの新しい君主となり、自分の遺伝子を受け継いでいない存在である新しい群れの赤さんライオンたちを皆殺しにしてしまったりすることもあるといいます
次に、ハヌマンラングールの事例。
ハヌマンラングールはインドやバングラディッシュに生息するサルであり、その名は古代インドの叙事詩『ラーマーヤナ』に登場するサルの英雄「ハヌマーン」に由来します。
ちなみに、ハヌマンラングールは現地の人々からは、神様の使いとして、大切にされているんだとか。
こんな神聖な動物による「群れにおける子殺し」というショッキングな振舞いは、1964年に京都大学の杉山幸丸さんによって始めて観察されました。
ハヌマンラングールは、基本的には数十頭から成る単雄複雌の群れを形成するといいます。
オスは成長するとライオン場合と同様に、やはり自分の群れを持つために放浪するんです。
で、このようオスはオス同士で集団を形成して、自分の群れを手に入れる機会をうかがいます。
そして数年に一度、このようなオスの集団はある群れを襲ってその群れのリーダであるオスを追い出すんですね。
で、その後、オス集団間で勢力争いを行った末に、勢力争いの勝者である一匹のオスが群れのリーダとなります。
そうしてリーダーの座についたオスは、自身が新たに支配した群れの中にいる子ども達を次々に殺していきます。
ちなみに、ライオンやハヌマンラングールの他にも子殺しは、ホエザルやゴリラ、ヒヒ、ラングール等の多くのサルに見られるとのこと。
子殺しは性選択理論によって説明できる
動物が子殺しを行う理由について、現在有力な説に性選択理論というものがあります。
この仮説の骨子は、
「オスがメスの授乳対象を奪うことで、メスを発情させて交尾することで自らの繁殖可能性を高める」
というものです。
メスは母乳をあげる子どもがいる間は、プロラクチンというホルモンの作用により発情しないため、オスはメスを発情させるために子供を殺す必要があるというわけなんですな。
※母乳の生成を促すホルモンであるプロラクチンが、発情を促すエストロゲンの分泌を抑制する。
そのため、この仮説にのっとるなら、子殺しが繁殖可能性を高めない場合は子殺しが発生しないことになります(例:メガネザル、メガネザル、マーモセットなどでは子殺しはほとんど発生しない)。
具体的に言うと、出産後にすぐ発情するのであればわざわざ子殺しを行う必要性はなく、発情期があるのなら子殺しをしてもメスは発情期になるまで発情しないため子殺しの意味はありません。
また発情期がなくとも、メスが一斉に発情するようなサルや、あらゆるオスがあらゆるメスと交尾するサルの社会においても、オスは全てのメスを独占できず群れ内外の他のオスにも繁殖機会があるので子殺しはあまり見られないといいます。
ちなみに、テナガザルなどのように雌雄で体格差のないサル社会においても、単純にメスがオスを撃退できるために子殺しが見られないそう。
やはり、メスとしては「自分の子供を守りたい」と思うみたいですね。
ここまでの話を総括すると、子殺しは「授乳による性的休止期間を持ち、オスがメスを独占しメスよりも大きい種に起こりやすい」といえるでしょうな。
これを人間の場合どうなのかって考えてみると、人間も種としては、割と子殺しが起きやすいのかもしれません。
まあ、人間には理性があるのでそんなことにはそうそうそうはならないわけですけど。
ただこう考えると、連れ子をなかなか愛せない人が、世の中に多いのもある程度仕方がない事なのかもしれないですなあ。
なんだか、納得と同時に残念な気持ちもしますけどねえ。
連れ子が再婚家庭のかなめ
日本の離婚率は35%だといいます。
およそ3人に一人は一生で離婚を経験する計算です。
これでも十分多い印象ですが、再婚者に限った離婚率は50%、そして再再婚に至っては75%にまで達するといいます。
25%づつの上昇なので「もはや仕組まれいている?」といいたくなってしまう気すらする数字ですな。
このような離婚率の変遷に対し、再婚する家庭に「少なくとも一人の親がその親の実子ではない子を含む家族(以下ステップファミリーとする)」が含まれていることが、離婚率の上昇に関わっているとみる向きもあります。
ステップファミリーにおいて、最も多い離婚理由は「継親と継子(要は連れ子)との関係が良くない」というものだそうです。
事実、継親側の気持ちとしては「継子をかわいいと思えない」という意見もよく聞かれる模様。
やはり、自分の遺伝子を継いでいない子供に対して自分の労力や時間といった資源を割くのには、本能側から一定の抵抗があるようですね。
これが例えば、小さい子供となれば養育にものすごく手間がかかります。
育児は実子でさえうんざりな人が多いのですから、これがもし継子となったら、、、その心労は計り知れないでしょう。
最悪、虐待してしまうかもしれません。
そんな風に継子に対する本能的な拒絶感のようなものを感じる中で、新しく子供が生まれると(以下セメントベビーという)、どうしても実子であるセメントベビーばかりをひいきするようになりがちです。
※セメントベビーとは「子連れでの再婚・同棲の後に生まれた赤さん」のこと。セメントは英語で「家族のきずなを強くする」の意。
すると、その愛情の格差を認識した継子と親との関係は、険悪になっていくわけですな。
これも本能的なものであるため、中々に難しい感情といえますねえ。
決して、倫理的には肯定できない状態ではありますけどね。
まあ、いずれにせよ、継子の面倒をしっかりと見るのは、本能と逆行する行為であるため、相当な覚悟がいるといえるでしょう。
人間には理性という強い味方がいる!
継子を本能的に拒絶するとなれば、もはや「ステップファミリーは離婚する運命にある!」と宣告されているような気になってきます。
ただまあ、そこは理性のある人間です。
上手くいっている例もちゃんとありますし、その方法もあるといいます。
ちなみに、ステップファミリーにおいて
「子なし夫 × 子あり妻」
の場合は比較的上手くいくとされている模様。
対して、以下の場合には離婚しやすいといわれているようです。
・子あり夫 × 子なし妻
・子あり夫 × 子あり妻
生物的に考えるなら、「子なし夫 × 子あり妻」の場合が一番うまくいかなそうなのに、実際は逆になっているみたいですね。
この理由としては、ここ日本では依然として「育児は妻に任せる」等と考えている男性が多く、ステップファミリーの生活においてどうしても女性が継子と接する時間が増えてしまうからだといわれています。
確かに、他人の子と接する時間が増えるということは、生物的な文脈で考えるなら「自分の資源を浪費している」ことになるため、本能的に抵抗を感じる機会も増えそうですね。
そう考えると、子ありの男性は結婚した後に、育児に積極的にかかわるようにしないと離婚率が上がってしまうってことになりますな。
ちなみに、ステップファミリーとして上手くやっていくにあたって、以下のようなことに気を付けるといいそうです。
・愛せずとも、焦らずに時間をかけて仲間意識を育む
継子を愛せないのは上述している通り、本能的には仕方ない面もあります。
愛せていない現状に自分の理性でもって「なんで、愛してあげられないのか!わたしは人としてダメなやつだ」みたいに分を責めると,そのストレスのせいでますます悪循環に陥りますね。
なので、「継子を愛せないのは本能的には仕方ない」という意識を持ち、自分を責めるのをやめてストレスを減らしていきましょう。
という視点を持ってみましょう。それだけでも、心を落ち着かせることができて、ステップファミリーで起きる問題に冷静に対処することができます。
冷静になって問題に対処していけば、時間の経過とともに継子との間に仲間意識のようなものが芽生えてくるでしょう。
・頑張って「いい親」になろうとしない
「いい親になろう」という意識が強い人ほど、熱心に継子に対して教育やしつけをしようとする傾向があります。
しかし、これは逆効果です。
継子は両親の離婚や急激な生活環境の変化等によるストレスから精神的に不安定となっていることが多く、このような義親からの干渉に対して往々にして継子からの反発や無視が起こります。
なので、「無理に親になろうとしない。そんなことしなくてもちゃんと子供は成長するのだ」という意識をも津ことが大事です。
義親が子供に無理な干渉をすることがなくなれば、ストレスが溜まって離婚を選択するなんて事態も避けられるでしょう。
セメントベビーが生まれても継子を優先する
もしセメントベビーが生まれたら、本能的には実子をひいきしたくなるでしょうが、継子を意識的に優先するようにしましょう。
例えば、以下のような具合。
・家に帰ったらまず最初にコミュニケーションをとるようにする
・料理は形のきれいな方を出すようにする
・大きいお菓子は継子にあげるようにする
妻側が継親になるのなら、夫は必ず育児に参加する
上述したように、依然として女性に家事が任せられがちな風潮があるせいで、どうしても継子とのやり取りの時間が増えて女性のストレスが増えます。
そこで、離婚を回避するためにはそうならずにステップファミリーの離婚を回避するためには男性の育児参加が特に必須です。
できるだけ、妻が子育てから離れられる時間を作ってあげるのがいいですね。
また、意識的にフォローの声かけを多くすることが離婚を防ぐためには大切です。
継子が思春期の場合には、ステップファミリーになるのを遅らせる
早く生活を開始したい気持ちもあるでしょうが、相手や自分に思春期の子供がいる場合はステップファミリーになるのは避けた方がいいでしょう。
それというのも、思春期の継子からの反発は大きなストレスとなる可能性があるからです。
そのストレスのせいで夫婦関係が悪化してしまうとしたら、もはや本末転倒といえましょう。
継子が思春期の場合は「一緒に住むタイミングを遅らせる」のが、ステップファミリーでの離婚を防ぐためには賢明です。
・困ったら支援団体を利用するようにする
ステップファミリーにおいて離婚がふと頭によぎった際には、ステップファミリーの支援団体によるサポートを利用するのもいいでしょう。
例えば、そのような支援団体には以下のようなものがあります。
以上の2つは、日本では数少ないステップファミリーに関する専門性・支援実績がある団体です。
ステップファミリーで離婚しようか悩んでいる際にも、的確なアドバイスをもらうことが出来るので、是非とも利用したいものですな。
なお、ステップファミリーでは最悪の場合、継親から継子へ虐待が行われることもあるんだそうです。
例えば、1983年にカナダの児童養護協会からオンタリオ州ハミルトン市役所へなされた報告によると、1000人当たりの子供の虐待数は以下のようになっているとのこと。
子供の年齢 | 0~4歳 | 5~9歳 |
両親とも実親の虐待 | 0.2人 | 0.2人 |
実親と義理親の虐待 | 15人 | 5.2人 |
うーん、ステップファミリーにおける虐待人数はそうでない場合と比べて非常にたかいですねえ。
特に、継子の年齢が低いほど、継親からの虐待の確率が高まっているようです。
上掲の表を見る限り、ステップファミリーでの虐待の起こりやすさは、子供が5歳以上だと26倍であるのに対して4歳以下では75倍にもなっていますからねえ。
ここでライオンの話をまた持ち出すのは多少違和感がありますが、ライオンの場合でもやはり小さい子供が殺される事がほとんどであり、ある程度子供が大きくなっていると抵抗されるためか殺されにくくなるようです。
んー、やはり油断をしているとすぐ本能が顔を出してくる、、、。
で、このような悲劇を防ぐためには、
『継子(連れ子)に怒るときは必ず実親経由で怒ることにする』
と決めておくことが重要だといいます。
もちろん、「その場に継親と継子の2人しかいない状況」をできるだけ作らないようにする配慮も重要ですな。
まあ、いずれにせよ、ステップファミリーにおいて虐待を防ぐためにあたっては、実親が「自分の子供は自分で守る」と覚悟を決めて対処するしかないといえましょう。
もし、こう言った事を継親が守れないのであれば、子供のためにも離婚してステップファミリーを解消するほうが絶対に良いですねえ。
おわりに
この記事は「「連れ子が邪魔で可愛くないのは当たり前?」シングルマザー,シングルファーザーと結婚するのは前途多難」と題しておおくりしました。
継子(連れ子)と血縁関係がないがために「愛せない」ということは、本能的には仕方がないことです。
なので、シングルザーやシングルファーザーと結婚するということは、「かなり人間としての理性が試される」事だといます。
もし、結婚するならそれ相応に覚悟をしないといけません。
ステップファミリーとしてうまくやっていくには以下のようなことに気を付けてみるといいでしょう。
・愛せずとも、焦らずに時間をかけて仲間意識を育む
・頑張って親になろうとしない
・セメントベビーが生まれても継子を優先する
・妻側が継親になるのなら、夫は必ず育児に参加する
・継子が思春期の場合には、ステップファミリーになるのを遅らせる
・困ったら支援団体を利用するようにする
血縁関係を超えて家族としての意識を持つってとっても難しい事なんだねえ。
では!
参考
https://rere.me/step-family/rikon
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%90%E6%AE%BA%E3%81%97
https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201609_post_10892/
参考記事等