「最近思うんだけど、社会で心理学がこれまで以上にクローズアップされているような気がする。まあ、メンタリストのダイゴが出てきたあたりからその傾向がひょっとしたら強まってきたのかな?ま、知らんけど。心理学を知ると人の心って読めるようになるんかねえ、、、?マーケティングとかビジネスの現場でも心理学の知識は活用されるそうだしさ。」
うむ、、、、確かに心理学はかなりメディアで取り上げられる気がするなあ。
でも、心理学で人の心がすべて解明できるとか読めるようになるなんていうのは傲慢だよなあ、、、そんな気はするよなあ、、、。
オニギリス!
脱マンネリストのオニギリです!
今回もよろしゅう!!
今回の話題は「「心理主義化は結構危険」人の心は心理学で全て分析、説明できる?」という話です。
今回は以下のような方に向けておおくりします。
- 心理学で人の心が分かるとか言っている奴がうさん臭いと思っている人
- 人の気持ちをいちいちさも偉そうに心理学で分析して見せようとするやつに腹が立っている人
- 心理学で人の心が分かるようになるみたいに言われている世間の風潮になんか白けてきている人
はい、心理学って最近ではいろんなところで導入されていますよね。
例えば、マーケティングで人の購買意欲を掻き立てるには心理学的にどうアプローチするか?とか人事でいえば面接の際に面接官と面接者が直接向き合わないように席を配置したり、就職で性格検査を活用する等々、、、そう、さまざまなものがあります。
先に言っておくと、
「心理学で人の心を完全に見透かすことはできないし、人の心は読めません。」
このように心理学によって、人の心が分かるとするのは心理主義に通ずるものがあります。
ただ、もしそんなことができるなら、株で億万長者がもっと生まれてきているでしょう。
というか、心理学で人の行動が予測できるとか心理学で人の心を見透かせるなんて、風潮になってきていること自体がすこし問題です(なってなかったらサーセン)。
今回はそう言ったことに関する話題。
では、ゆるりとおおくりします。
目次
1、心理主義ってなんじゃ?
まずは、心理主義という言葉の定義について少し簡単に確認。
心理主義とは精選版 日本国語大辞典によると、
〘名〙 哲学で、すべての精神生活のあり方を、心理的な内容と過程に還元して説明しようとする傾向や立場。他のあらゆる精神科学を心理学によって基礎づけられるとする立場。先験主義や論理主義に対する。心理説。〔現代語解説(1924‐25)〕
引用
https://kotobank.jp/word/%E5%BF%83%E7%90%86%E4%B8%BB%E7%BE%A9-82716
とのこと。
つまり、ものすごく雑に言うと
「人の心の有り様は心理学とか精神科学によって全部解明できまっせ」
みたいな考え方のことです(さすがに雑すぎる気がしてきた、、、)。
近年、社会的に心理学の知識等は脚光を浴びていると思います。
そして、マーケティングやビジネスの現場でも心理学に基づいたアプローチというものが数多くネット上でも取りざたされていますね。
この背景にはビジネスやマーケティングの現場等では再現性のある方法、つまり「何回やってもうまくいく方法」というのがとても重要になってくるということがあると思います。
人の心理というものは目に見えるものではないので、実にとらえどころがありません。
そのため、例えば「トップセールスパーソンのやり方を踏襲しようとする」なんてことに終始しがちです。
でも、当然それだけでうまくいくことは少ないわけですな。
当然、方法には合うあわないの個人差があるので、うまくいっている人のマネをすれば誰でも必ずうまくいくとは限らないわけですね。
そこで、心理学の知識の出番なわけです。
心理学では人の心理を数値化したりし様々な研究によって心理傾向を分析しています。
そのため、個人の感想や体験の域をでない情報をもとにするより再現性が高いわけです。
「人の心理とはこうなっている」みたいな心理学における理屈にしがって、「こうすればこうなる」みたいに売るためのシステムを構築しておけば安定して売れていく可能性は比較的高いでしょう。
これは対人関係においてもそう。
「こういう性格の人はこういった性格傾向をもっているから、こうアプローチすれば好意を持つ」
とか
「こんなこと言う人の心理はこうだから、こういって言いくるめよう」
みたいに、処世術としても活かせるわけです。
少しとげのある言い方をすれば、社会には
「人の心理をシステムとしてとらえる事で悩みや迷いを減らす」
ために心理学を応用しようという機運があるということです。
これ自体はいいことですね。
無駄に試行錯誤をしなくていいのでとても快適です。
わたしも無駄に努力なんてしたくないので、心理学を上手く活用して上手に立ち回っていこうって思っている節はあります。
でも、、、「人の心はすべて心理学により解明できる」との考えは、「傲慢」の一言だけで片付けられないほどの違和感と不遜な感情を多くの人の心に巻き起こすのではないでしょうか。
2、心理主義が広まると自己責任論が強くなる
心理学は人の心理を個別具体的なものから「一般的なもの」へと変化させます。
つまり、「Aさんは~という状態で気を病んでいる」が「人は~という状況ではストレスを感じる」のように変換されるわけですな。
社会に心理学の知識が広く共有されること自体は、とてもいいことです。
それによって行動の指針は明確になりやすいし、無駄な試行錯誤をして労力を無駄遣いしないで済むようになります。
しかし、このような傾向が深化することによる弊害も当然あるんですな。
例えば、
「~の場合人はストレスを感じる。その手のストレスは~で対処すればいい」等の知識が社会に広く共有されている場合を考えてみます。
現実的に考えた場合、その本人のすんでいる国の文化や置かれている状況等々様々な要因により、その対処が不可能である人達も当然いるでしょう。
それでも、上述のような知識が広く共有されている社会では同じ状況下でストレスを感じている人たちに対して、社会は「自己責任である」といって切って捨てて来たりします。
つまり、「お前たちがストレスを感じているのは適切な対処をしないからだろうが。そんなことはだれでも知っていることだぞ?ストレスはお前の怠慢の結果だ。」というわけです。
社会が心理主義化、つまり心理主義的な考えに染まっていくことの危険性の一つはこういった自己責任論の加速を助長するというものなんですねえ。
まあ、何事も妄信ってよくないっすね。
3、心理学の知識とうまく付き合っていこう
心理学おける知識や心に関する理論はあくまで「傾向にすぎない」です。
現状、心理学に人間の心理の全てを完全に説明できるだけの力はないだろうし、まずそんな時はこないだろうと、浅学な私ではありますが愚考せずにはいられません。
「~学」という名を冠する知識群に対して、一定の権威性を感じる人は多いと思います。
「~学」とは知識の体系であり、そこには理論がありそれによってそれら知識群が相互に関係づけられているんですな。
しかし、その理論はどこまで行っても不完全です。
かならずといっていいほど、例外が登場してきてしまいます。
なので、心理学の知識を妄信しないのが大事だろうなって感じです。
確かに、「その通りだろうな」ということも非常に多いとの印象がある反面、きっと違うこともあると思います(何を当たり前のこと言っているのか、、?)。
あくまで心理学の知識は「一つの指針」として活用するのがいいですね。
そして、その知識の通りに行かなかったらなんでうまくいかなかったのか試行錯誤すればいいわけですし、対人関係ならきちんと相手の話を聞くことで相手の考えていることが分かりやすくなるはずです。
「相手の話をきちんと聞く傾聴スキル」については以下からどうぞ。
おわりに
今回は「「心理主義化は結構危険」人の心は心理学で全て分析、説明できる?」と題しておおくりしました。
最近、心理学の知識は社会の様々な分野において大いに活用されています。
ただ、そのように心理学的な知識が広く社会に共有されるにつれ、社会が心理主義化していき自己責任論が助長される土壌が育っている感も否めません。
心理学はわたしたちに多くの恩恵を与えてくれるものですが、その知識があくまでも傾向にすぎないということを前提にしていきたいものです。
では!
参考記事等
「スリーパー効果」時間が経つと不信感が信頼感に変わってしまう恐怖
参考
http://www.ritsumei.ac.jp/kyoshoku/kankobutu/file/kiyo04/03.pdf
https://kotobank.jp/word/%E5%BF%83%E7%90%86%E4%B8%BB%E7%BE%A9-82716