「認知的不協和の解消とかって色んな自己啓発系の本とかに出てくるけど、、、、、なんだかいまいちわからんわ。字面がめんどくさそうだからってのもあるけどさ。何かいまいちわからん。」
ふむ、確かにいえてる。
認知的不協和の解消ってよく聞くけど、呪文みたいよなあ。
オニギリス!
脱マンネリストで心理カウンセラーのおにぎりです。
今回もよろしゅう!!
今回の話題は「認知的不協和について分かりやすく簡単に説明してみたいと思うのだ!」という話です。
今回は以下のような方に向けておおくりします。
- 認知的不協和について知りたい人
- 認知的不協和が影響している例を知りたい人
認知的不協和の解消って言葉はビジネス系や自己啓発系の書籍を読んでいると、よく目にする言い回しですよね。
だけど、その意味に関しては「よく分からん」という人もいるような気がします。
てなわけで、今回は少しばかり認知的不協和に関して詳しく見ていきたいと思う次第。
では、ゆるりとおおくりします。
目次
認知的不協和って一体何か?
認知的不協和とは、アメリカの心理学者レオン=フェスティンガーさんにより提唱された
「人が自分の認知と別の矛盾する認知を抱えた状態、ないしその際に覚える不快感を表す社会心理学用語」
です。
、、、と一言で言っても中々分かりにくいと思いますので、例を挙げて具体的に考えてみましょう。
有名な例としては、イソップ物語のキツネとすっぱいブドウの逸話があるでしょう。
酸っぱいブドウの逸話というのは以下のようなものです。
お腹を空かせた狐は、たわわに実ったおいしそうな葡萄を見つけた。
食べようとして懸命に跳び上がるが、実はどれも葡萄の木の高い所にあって届かない。
何度跳んでも届くことは無く、狐は、怒りと悔しさから「どうせこんな葡萄は酸っぱくてまずいだろう。誰が食べてやるものか」と負け惜しみの言葉を吐き捨てるように残して去っていった。
引用
キツネは本当はブドウが美味しそうに見えたから食べたかったのにも関わらずどう頑張ってもブドウが取れないので、「このブドウは美味しくない」と思い込むことで何とか溜飲を下げようとしているって話ですな。
ちなみにフェスティンガーさんとJ.M.カールスミスさんは、認知的不協和の存在を実証するべく1959年に「1ドルの報酬実験」という実験を行っております。
実験の概要は以下の通り。
[実験概要]1時間にわたり学生達に退屈で面白みにかけた単純作業をさせた。
その際、学生たちを以下の2グループに分けた。
- 作業後、次にやって来る被検者達に対し「この作業はとても面白かった」と言うよう指示し、その虚偽の発言に対する謝礼として1ドルと20ドルを与える群
- 作業後に、虚偽の発言を強制せず1ドルを与える統制群
「結果」
報酬学が少なかった方が「仕事内容に対する満足度」が高かった
参考
Cognitive consequences of forced compliance.
ふむ、普通に考えると報酬は多い方が満足度が高い気がしますよねえ。
でも、実際の結果は逆だったわけです。
この結果は、認知的不協和という概念を用いると以下のように説明できます。
「報酬に対する満足度の低さ」や「仕事内容、虚偽発言の強制に対する満足度の低さ」が学生達に不快な認知的不協和を生じさせる。
↓
「面白くない仕事をしたという認知」を「少しは面白い仕事をしたという認知」へと置き換える事で報酬の少なさを仕事の面白さにより正当化しようとする。
はい、なんだかブラック企業とかで疲弊し続けながらも働いて過労死していく人たちの心理の一端を垣間見るような恐ろしさを感じるロジックですなあ。
認知的不協和の解消はどうやって起こるんじゃ?
さて、では認知的不協和についての概略についてはおよそ話し終わったので、次に認知的不協和の解消はどのようにして起こるのかについて見ていきましょう。
フェスティンガーさんによると、認知的不協和の解消(低減)は「認知的不協和の存在それ自体が動因になって生じる」そうです。
また、「不協和を解消しようとする圧力」はその不協和の度合いが大きいほどに大きいといいます。
それらを前提として、一般的に不協和が環境要素と行動要素の間に存在する場合には、行動に関する認知要素を環境要素と協和するよう変化させることで除去されるとのだとか。
※環境要素とは、環境に関する知識に対応する要素のこと。例:美味しそうなブドウが木になっている。
※行動要素とは、行動に関する要素。例:ブドウをとることができない。
上述の酸っぱいブドウの例では、キツネが美味しそうなブドウがなっているのを見てブドウをとろうとするもブドウをとる事ができないので、行動に関する認知を「あのブドウは酸っぱいから取らないのが正解である」と解釈して行動要素と環境要素の協和をとっているというわけですね。
認知的不協和の解消に関してより詳細に知りたい人は以下を参照してみてくださいな。
参考
https://core.ac.uk/download/pdf/230304997.pdf
認知的不協和が起こっている例を見てみよう
では、最後に認知的不協和が起こっている事例をいくつか確認してみましょう。
ケース1:ブラック企業で働き続ける
「環境要素」
劣悪な職場で低賃金で長時間労働を強いられる
「行動要素」
毎朝の朝礼で「感謝の言葉」や「自分たちの仕事がいかに社会に貢献しているか」等を強制的に言わされる
本来、劣悪な職場環境で低賃金で長時間労働を強いられているなら、「こんな割に合わないことはやってられない」とさっさと転職するのが妥当でしょう。
しかし毎朝の朝礼で「感謝の言葉」等を言わされることで、行動要素と環境要素の間に不協和が生じ不協和を解消すべく認知を「仕事にやりがいを感じる」と修正してしまったために理不尽な環境から抜けられなくなっていると考えられるでしょう。
上述した「1ドルの報酬実験」に見られるような、認知的不協和が起こっていると思われます。
まあ、いわゆるやりがい搾取に相当する例と言えるでしょう。
ケース2:不健全な恋愛にハマっていく
「環境要素」
パートナーと恋愛関係にあるパートナーから理不尽な要求をされる
「行動要素」
本心では嫌だと思いつつも、パートナーの要求にこたえてしまった
この場合、パートナーから理不尽な要求をされ「本心では要求にこたえたくない」と思いつつも、パートナーからの理不尽な要求にこたえてしまったので不協和が生じています。
そのため、「こんな理不尽な要求にこたえてしまったのはパートナーのことが好きだからだ」と認知を修正し不健全な恋愛関係を継続していってしまうのです。
しかも、このような理不尽な要求に答え続けるとますます泥沼にはまっていきます。
「今までのしんどい思いや労力
ケース3:喫煙者の心理
「環境要素」
タバコを吸うのは体に良くない
「行動要素」
実際にタバコを吸う
この不協和をそのままにしておくと気持ちが悪いため、当事者としては行動要素か環境要素を修正することで不協和を解消することになります。
最も妥当なのは行動要素を「タバコを吸わない」に変えることですが、タバコを吸わないようにするのは相当に苦痛を伴うものです。
そのため、往々にして「タバコを吸っていても長生きしている人はいる」等といった情報を付加し、環境要素と行動要素の不協和を緩和しようとする傾向があると思います。
おわりに
この記事は「認知的不協和について分かりやすく簡単に説明してみたいと思うのだ!」と題しておおくりしました。
認知的不協和とは、「人が自分の認知と別の矛盾する認知を抱えた状態、ないしその際に覚える不快感を表す社会心理学用語」です。
そして、認知的不協和はその存在自体が解消のための動因であり、その解消のために生じる圧力は不協和の程度が大きいほど大きくなります。
認知的不協和という言葉は字面だけ見るとかなり厳ついですが、酸っぱいブドウの例に当てはめて考えるようにすると分かりやすいと思いますね。
「認知的不協和ってなんじゃったっけな?」と思ったら、負け惜しみを言っているキツネの酸っぱいブドウの例を思い出してみましょう。
では!
参考
https://core.ac.uk/download/pdf/230304997.pdf
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%9A%84%E4%B8%8D%E5%8D%94%E5%92%8C
https://charm.at.webry.info/201101/article_4.html
参考記事等