今回は以下の様な方に向けておおくりします。
・マインドフルネスの危険性について一度きちんと考えてみたい人
・話のネタが欲しい人等
脱マンネリストで心理カウンセラーのオニギリです!
今回もよろしゅう!!
今回の話題は「「マインドフルネスは危険?」マインドフルネスに向かない人の特徴」という話です。
今回は結構マインドフルネスを万能視している人にとってはキッツい内容になります。
昨今、グーグルが採用していると言う事で話題になったマインドフルネス瞑想ですが、実はこれには有害な側面もあるといわれているんです。
実は、本記事にて取り扱う「マインドフルネスの闇の部分」については、わたしもマインドフルネス瞑想を習慣化している身としてかなり納得のいくもの示唆だったんですよね。
そのような背景もあって、わたしはかカウンセリングにおいてストレス低減の手法としてマインドフルネス瞑想を提案することもしばしばですが、少しでもクライエント様が異変を感じていると判断できたならすぐやめるようにと言っております。
やはり、万能薬なんてものはなくて、どのような手法にも負の側面があると言う事ですよねえ。
あなたも、マインドフルネス瞑想をしていて逆効果のように感じるのなら、「かなり確率で現時点ではあなたにはマインドフルネスは向いていない」ので、ストレスを減らしたいなら他のストレス低減法を使うようにしてください。
では、ゆるりとおおくりします。
目次
マインドフルネスとは何だったっけ?
以前の記事でマインドフルネスについて扱いましたが、今一度簡単におさらいです。
マインドフルネスとは、一言でいうと「現在において起こっている経験に注意を向ける心理的な過程の事」です。
マインドフルネスを行うことの最大の利点としては、「意識のコントロールが上手になること」が挙げられるでしょう。
意識のコントロールが上手くなると、悩みを抱えていてもその悩みのとらわれずに生活する事が可能になるんですね。
ようは、「自分に悩みがあることは自覚しているが、その悩みを放っておくことができる」ようになれるわけです。
悩みは、気にしないように意識すればするほど、意識の上により顕在化し深刻化していきます。
日々、悩みが生じるのは仕方ないとしても、ストレスの少ない生活を実現するためには、「それら悩みを深刻化させないためのスキルが必要」なのです。
なお、マインドフルネス系の瞑想は、健康な人には安全で身体的制限のある人に関してはきを伴う特定の瞑想に参加できない可能性があるといいます。
マインドフルネスについてより詳しくはリンクからどうぞ。
マインドフルネスの有害性
では、ここからはいよいよマインドフルネスの負の側面について確認してみましょう。
まず、再度言っておきますが、「マインドフルネスは基本的には安全」なのです。
しかし、短所の全くない万能の方法なんてものはまず存在しませんから、当然マインドフルネスにも危険性はあって然るべき。
なので、ここで挙げる危険性を見たからと言って「マインドフルネスって危険だな」といった極端な意見を持たないようお願いします。
最近の研究で指摘されているマインドフルネスの負の側面には以下のようなものがあるそうです。
・記憶力の低下
・囚人に対しては犯罪傾向を助長する可能性がある
・不安感を増強したりうつ病を引き起こしたりする
以下順次簡単に補足していきましょう。
記憶力の低下
「Psychological Science」において2015年に掲載された論文によると、マインドフルネス瞑想が記憶力に悪影響を与える可能性が示唆されています。
この研究では、マインドフルネス瞑想をした被験者と、そうではない被験者の両群に対してDRMパラダイム(Deese–Roediger–McDermott paradigm)いう虚記憶を調べる実験が行われました。
※虚記憶(虚偽記憶)とは、実際には起こっていない出来事についての記憶の事。
※DRMパラダイムとは、「参加者に互いに関連した項目のリスト(DRM リスト)を学習させることによって、「学習した項目と関連するけれども実際には学習してない項目(lure 項目)」への虚記憶を生起させるという記憶研究の手続きの一つの事。
この結果、マインドフルネス瞑想実施者の方がマインドフルネス非実施者にくらべて、悪い結果を残してしまったといいます。
しかし、一方でマインドフルネスによって「短期記憶」や「集中力」が向上するとか、GRE( アメリカの大学院進学適性試験)の成績が上がるという調査も存在するので何とも言えないところではありますねえ。
ちょっと、研究結果だけではなくそれぞれの研究において実施された被験者の情報や研究デザイン等を緻密に比較してみるとこのような結果の違いが見えてきそうですな。
・囚人に対しては犯罪傾向を助長する可能性がある
科学ジャーナル「Personality and Social Psychology Bulletin」に発表されたある研究によると、
「マインドフルネス瞑想の実践によって、囚人の半歳傾向が助長される可能性がある」
といいます。
この研究の非常に大雑把な概要は以下の通り。
・囚人と516人の大学生516名と囚人259人にマインドフルネス瞑想を実践してもらう
・感情の抑制と自己に対する判断の保留の2点から、囚人たちと大学生たちのそれぞれに対するマインドフルネス瞑想の影響を分析
この結果、囚人の場合、感情の抑制については「犯罪傾向認知スケール(CCS)」の値が低く出た一方で、自己に対する判断の保留については「CSS」の値が高く出たといます。
※犯罪傾向認知スケール(CCS:criminal sentiments scale )とは、研究や臨床の現場で使われている犯罪傾向を調べるためのアンケート形式の質問票。その評価項目には「他者より優れているという感覚、自身の責任を受け入れない態度、権力に対する否定的態度、短期的な結果に集中する傾向、犯罪行為に対する無関心など」がある。
自己の判断に対する保留について、CSSの値が高く出たと言う事は、
「犯罪につながるような思考が生じたときに、その思考に対する自分の善悪判断といったものがなされない」
と言う事を意味しているといえましょう。
この研究で囚人達は感情面ではCSSが低く出ているので、「犯罪を犯すことへの精神的自制」、もっと言うならある種の善悪判断に近い判断はあるものと思われます。
しかし、この「ある種の善悪判断」はマインドフルネスの実践によって保留されやすくなるわけです。
普段から犯罪傾向につながる思考をすることになれた囚人達にとって、犯罪につながる思考が生じた際には「これはダメな思考だ!」と判断する必要があるわけですね。
しかし、そういった判断が保留されると言う事は、犯罪へつながる思考が野放しになって結果犯罪を引き起こすリスクがあるってことです。
マインドフルネスには、上述したように「悩みを放っておくことができるようなる」という利点があるわけですが、囚人の場合「自分の犯罪へつながる思考は否定せずそのままにしてしまう可能性がある」と言えるわけですよ。
「こんな思考をしているとまた何かやらかすぞ!」といった判断は、囚人からしたら悩みの種と言っていいわけですが、それにとらわれないと言う事は「自ら矯正の機会を放棄する」に等しいのです。
囚人は自分自身がいつ犯罪へとアクセルを踏むかわからない思考をしているのですから、ブレーキとしての善悪判断が欠かせないといえます。
こういった事例を見ると、「自分のありのままを受け入れることがいつ何時も最善である」とは到底言えないという気がしてきますね。
「ありのままを受け入れすぎる事のリスク」について詳しくはリンクからどうぞ。
・不安感を増強したりうつ病を引き起こしたりする
マインドフルネス瞑想によって、精神疾患が引き起こされるリスクがあるといいます。
イギリスのコヴェントリー大学のミゲル=フェリアス教授の研究では、マインドフルネス瞑想によって14人に1人が精神的に悪影響を被っていると指摘されている模様。
他にも、マインドフル瞑想によって以下のようなケースが報告されているんだとか。
・瞑想中に気分が悪化する
・瞑想によってトラウマが強化されてしまう
・離人症の発症
マインドフル瞑想によって、意識の制御が上手くなるのは実際に2年ほど毎日20分ほど瞑想を実施している身として非常に強く実感することです。
しかし、マインドフル瞑想は自身の呼吸や体の各部の緊張の有無などに意識をやる行為ではありますが、その本質は「自分の内面との対話」といえます。
意識が自分の内側に向くことで、自分の中にくすぶっていた問題が一気に表面化し悪化する事も十分ありうると思うんですよね。
事実、昔から禅僧たちの間ではこのような瞑想の副作用についてよく知られており、瞑想による病的精神状態を「禅病」、禅病的な状態に入ることを「魔境に入る」等と呼んでいたといいます。
今のところ、マインドフルネス系の瞑想は健康な人には害がないとされてはいますが、一応「やりすぎてはいけない」と言う事に気をつけておくべきでしょう。
実際、わたしも一日20分以上の瞑想を習慣化しようとしていた時期もあるのですが、これ以上瞑想時間を増やして得られるメリットと起こりうるリスクを天秤にかけた結果、「これ以上は増やさなくていい」と判断した次第。
むやみに瞑想時間を増やさない方がいいでしょう。
マインドフルネスに向かない人の特徴
さて、ここからは、個人的にカウンセリングをしたり、実際にマインドフル瞑想を実践している人に感想などを聞いたりした中で感じた「マインドフル瞑想をするのに向いていない人の特徴」について少しだけ述べてみたいと思う次第。
わたしが思う「マインドフルネス瞑想が向いていないと思う人の特徴」は、一つ。
それは「強いトラウマを持っていたり不安を感じやすすぎる人」です。
※ここでいう強いトラウマとは、PTSDまでは至らないレベルのトラウマである。
マインドフルネスは意識の制御に資するものですが、強烈な不安にとらわれている人は、どう頑張っても不安から呼吸などへと注意を向けるといった意識制御ができません。
多少本末転倒な気もしますが、マインドフルネス瞑想をする前提として、「最低限の意識コントロールができる事」がある気がするんです。
マインドフルネス瞑想をするのに耐えうる最低限の意識コントロールができない状態の人が、瞑想をすると自分の抱える心の闇に完全に取り込まれてしまうって感じですね。
まあ、先ほどの禅の世界の言葉を借りるなら、「魔境に入ってしまう」と言う事でしょうか。
とにかく、マインドフル瞑想をするのであれば、「一日5分から」等といったレベルで初めて、少しでも異変を感じたら中止するようにしてくださいな。
多くの人は、何か体に変化が起こると「お?これは何かプラスの変化が起こっている?」等と思いがちです。
しかし、それは勘違いである場合も多いんですよね。
瞑想していて気分が悪くなったのなら、すぐにやめるべきです。
間違っても、「これは状態が良くなる前の一時的に悪化する時期なんだ!これを超えればきっと状況は一気によくなる!」なんて考えはやめてくださいな。
おわりに
この記事は「「マインドフルネスは危険?」マインドフルネスに向かない人の特徴」と題しておおくりしました。
マインドフルネスは、基本的に安全性です。
とはいえ、「絶対にリスクが存在しない」と言い切ることはできません。
これは瞑想に限らず、何についてもいえることですけどね。
マインドフル瞑想は、世の大半の人にとって有益でしょうが、その効果を過大評価する事態は避けたいものです。
副作用のない万能薬なんてものはまず存在しませんので、きちんとマインドフルネスの負の側面にも目を向けていきたいものですな。
では!
参考記事等
参考
ejiM
Clare Wilson(2020). Mindfulness and meditation can worsen depression and anxiety. NewScientist.
https://www.excite.co.jp/news/article/Tocana_201712_post_15385/