「人間関係に共感ってすごく大事な要素だわな。やっぱり自分の気持ちに共感してくんない人とは仲良くできんわ。なんていうか、一人置いてかれているようなさみしい気持ちになるわな。ところで、共感性って一体なんて定義するのが適切なものなんだろ?」
ふむ、共感性って一体なんやろねえ。
なんて定義したらいいんだろうか?
オニギリス!
脱マンネリストのオニギリです!
今回もよろしゅう!!
今回の話題は「共感性っていったい何なのか?共感性について少し深く突っ込んでみた。」と題しておおくりします。
今回は以下のような方に向けておおくりします。
共感性について深く突っ込んでみたい人
良好な人間関係を成立させるために不可欠なものが共感ですね。
これは特に対女性での関係では非常に重要です。
ただ、「共感性」というと「他人の痛み等をかんじる能力」くらいの認識しか持っていない人が実際には多いんじゃないかと思います。
今回は共感性について少し深く突っ込んでまいりたいと思うのです。
では、ゆるりとおおくりします。
目次
共感性とは?
共感性とは辞書的な意味でいうなら、以下のようなものです。
共感(きょうかん)、エンパシー(empathy)は、他者と喜怒哀楽の感情を共有することを指す。もしくはその感情のこと。例えば友人がつらい表情をしている時、相手が「つらい思いをしているのだ」ということが分かるだけでなく、自分もつらい感情を持つのがこれである。通常は、人間に本能的に備わっているものである。しかし、例えば反社会性パーソナリティ障害やサイコパスの人物では、“共感の欠如”が、見られる[1]。近藤章久は深い共感と直観を精神治療の根幹とした。
引用
しかし、共感性の定義は厳密に言えば、「今のところ存在していない」といえるでしょう(あくまで日本では)。
参考
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/58/3/58_411/_pdf
ちなみにですが、カリフォルニア大学バークレー校を母体とした世界有数の研究機関であるThe Greater Good Science Center(GGSC)によると共感性には以下の二つが存在するといいます。
- Affective empathy(友好的な共感)
- Cognitive empathy(認知的な共感)
以下順次端的に解説してみます。
・Affective empathy(友好的な共感)
友好的な共感とは他者の感情においてわたし達が抱く感覚のこと。
これには他者の感じていることを写し取ったり、他者の恐怖や不安のような感情を感知して自分もストレスを受けるなんてことが含まれます(情動伝染)。
・Cognitive empathy(認知的な共感)
認知的な共感は時として他者の感情を判定したり理解する能力であるperspective taking(他者視点取得)とも言われます。
研究によると、自閉症の人は共感するのが難しいとのこと。
参考
https://greatergood.berkeley.edu/topic/empathy/definition
以下共感性の定義はGGSCの記述によるものとします。
共感性は人間関係で大事
共感性は、人間関係には非常に重要です。
なんせ他人の感情を受け取る、他人の立場に立つことができなければ、相手に配慮した行動をとることなんてできませんからね。
そして、共感性があるからこそ罪悪感、つまり罪の意識が芽生えるとも言えます。
一般に、嫌われることが多いであろう罪悪感というネガティブ感情も自分の行動を改める強い動機となるので、行動の修正には大事です。
他人を傷つけたことに関して何ら罪の意識を感じないとなれば同様のことを何度でも繰り返すでしょう。
こんな人が良好な人間関係を構築するのは非常に困難といわざるを得ません。
共感性は良好な人間関係形成のためには不可欠のもといえるでしょう。
共感性を理解するのにロシア人形モデルが最適?
共感性を理解するのに役だつものにロシア人形モデルというものがあります。
それが以下。
引用
http://www.emory.edu/LIVING_LINKS/empathy/faq.html
このロシア人形(マトリョーシカ)モデルはde Wall さんによって提示されたものです。
de Waal (2008)によると、共感は以下の要素からなるの力あるとしています。
- 情動状態の共有
- 他者の情動状態の理由の推測
- 自他が異なる心的状態を持つことの認識
そして、動物種を超えた感情状態の一致によつ情動伝染が共通基盤であり,その外側の中間層にチンパンジーにも観察されるような同情的関心、ないし慰めがあるとしています。
さらに最外層には人間固有の視点取得に基づいた他者の欲求を理解した上で の手助けが生れるとのことです。
ただし、このロシア人形モデルは直感的にわかりやすい反面、多くのことを切り捨てているゆえに批判も存在して今る模様。
批判について詳しく知りたい人はこちらの論文を参照。
参考
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/58/3/58_255/_article/-char/ja/
共感性の闇
共感性は一般には「善」とされていますが、実際には負の側面も持っています。
まあ、光あるところ必ず影がある、、、て感じでしょうか。
その具体的なものが以下。
- シャーデンフロイデ(他人を引きずり下すことに快感を覚える、他人の不幸を喜ぶ感情)
- 逆共感(他者の快が自分にとっての不快になる:嫉妬等)
そして、共感性は人から客観的な意思決定を奪い去る可能性をもっており、また容易に攻撃性へと転化する性質も持っているといえます(例:自分の最愛の人を傷つけれたら加害者に報復しようとする)。
また、情動的な共感はボトムアップ処理であり当事者には自覚されにくいとされ、外部の集団や異文化と交流する社会では往々に仲間内での差別やひいきの温床となり大規模な協力関係を構築する上で足かせとなりえます。
※ボトムアップ処理についてくわしくはリンクからどうぞ。
共感性も使い方が大事なのかもしれない
共感性は一般には善として扱われることが非常に多いですが、実際には害となる場合もあるのです。
例えば、高度な政治的判断を政治家が行ったり大組織の指導者が組織の命運を左右する判断を下す場合等は、共感性が合理的判断の足かせともなります。
場合によっては「かわいそうだから」なんて度外視して「最も被害が少ないか」とか「理にかなっているか」という視点から「迅速に判断する」必要があるでしょう。
例えば、100万人を救うために1000人を見殺しにする、ないしその死を黙認するなんてことも機械的に瞬時のうちにしなくてはいけないなんて場合だってあるかもしれません。
そう、その数秒の迷いがより多くの犠牲を生むなんて場合です。
共感性は時に判断の足かせとなります。
これはカウンセリングにも同じことが言えるとわたしは考えていたりします。
クライエント様方の心の闇や痛みに過度に入れ込むものは破滅するのです。
対峙する側は共感性を上手にコントロールして合理的判断ができる様でいないとだめでしょう。
いずれにせよ、現代社会の様々な場面で情動に安易に流されずに「他者の視点にたつ視点取得」を心がける必要があるといえるでしょうね。
そうしないと、いわゆる「お節介」染みた「有難迷惑」を嬉々として行う鼻つまみ者になりかねないと思います。
共感性は使い方が大事なんです。
おわりに
この記事は「共感性っていったい何なのか?共感性について少し深く突っ込んでみた。」と題しておおくりしました。
共感性は一般には善とされることが常ですが、必ずしもいい面ばかりではありませんでしたね。
わたしは何も共感性を非難したかったのではなく、「良いとされるものにも悪い面がある。それを知ることでさらにいい面を活かすことができる」と考えているので、今回は共感性のダークサイドについて言及したつもりです。
ものは使いようってやつですね。
共感性を上手く活用していい人間関係を築いていきたいものです。
では!
参考
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/58/3/58_411/_pdf