今回は以下のような方に向けておおくりします。
・仮現運動について知りたい人
・話のネタになるトリビアを探している人
「踏切の警報機を見ているといっつも思うんだよねえ、、、。警報機の信号はただそれぞれの位置で点滅しているだけなのに動いているように見えてきちゃうんだよな。ん?もしかしてこれってわたしだけなのか??、、、わたしがおかしいのか??」
いんや、別におかしいことではないんよ。
それは人間の認知に関して普通に起こる現象なんだわ。
心配無用。
オニギリス!
脱マンネリストのオニギリです!
今回もよろしゅう!!
今回の話題は「『仮現運動』動いていないのに動いているように見えてしまう不思議。」という話です。
今回は以下のような方に向けておおくりします。
あなたは踏切の警報機の信号が点滅するなどの現象に出くわして、
「それぞれ別の位置でライトが点滅しているだけのはずなのになんだか動いているように見ええるなあ、、」
なんて感じたことはないでしょうか?
これは点滅する速さがわたしたちの認知に影響を及ぼしているから起こることなんですね。
今回は「動いていないはずなのに動いているように見えてしまう」という不思議な現象について少し突っ込んでまいりたいと思う次第。
では、ゆるりとおおくりします。
目次
動いていないのに動いているように見える仮現運動
大雑把に言うと、「動いていないのに動いているように見えてしまう現象」のことを仮現運動といいます。
そしてより限定的な言い方をするなら、仮現運動とは
「早すぎず遅すぎないくらいの時間間隔で、ある対象AとBをそれぞれ別の場所で交互呈示した場合に、AとBが動いているように見える現象」
のことです。
とはいっても、やはり言葉だけだとわかりにくいと思うので、まずはユーチューブで探してきた参考動画を見てみてくださいな。
参考動画
どうでしょうかね?
少しは実感できましたでしょうか?
ちなみに、この仮現運動という概念が初めて世に出たのは1912年のこと。
より詳しい経緯を説明すると、ゲシュタルト心理学者のウェルトハイマー,M.1910年に仮現運動に関する着想を得て子ども用のストロボスコープを用いて実験を行い、1912年に「運動視に関する実験的研究」という論文において人間の知覚に関しての新たな発見を発表したんですね。
なお、仮現運動の「仮現」は「物理的に実際には起こっていない運動が見える」ことからなずけられています。
ちなみに、英語だと仮現運動は「Apparent movement」、日本語で直訳すると「見かけ上の運動」と訳せるので非常にわかりやすいです。
※日本語での仮現とは本来は神や仏が仮の姿をとって現れることを意味する。
ベータ運動とファイ運動
さて、引き続き仮現運動についてより深く突っ込んでまいります。
上述したような踏切の警報機で見られる現象は「ベータ運動」と呼ばれます。
信号は実際に動いているのではなく単に交互に光っている点滅を繰り返しているにすぎません。
しかし、点滅の速度によってわたしたちは「あたかも動いているように」感じるんですね。
その明滅の速度によって人間がどのように感じるかは下表の通り。
明滅する時間差 | 観測できる現象 | 時相 |
30ミリ秒以下 | 2つの信号が同時に点滅しているように見える | 同時時相 |
60ミリ秒程度 | 信号が動いているように見える(ファイ現象) | 最適時相 |
200ミリ秒以上 | 2つの信号が順番に点滅しているように見えるが、運動が生じているようには見えない | 継時時相 |
※時相とは時間的位置のこと。
※ファイ現象はベータ運動の一種であって同じものではないことに注意!
ファイ現象を実感したい人は以下を参考にしてみてくださいな。
参考
どうでしょうか?
中々不思議なもんですね。
人間の知覚について改めて色々深く調べていくと興味深い現象が沢山あることに気つきます。
身近な仮現運動
実は、わたし達の身の回りに上述の一連の仮現運動に関する沢山の応用例が存在しています。
その代表例といえば、映画やアニメーションでしょう。
アニメーション発展の歴史を紐解くと、その発展は仮現運動と錯視の研究に裏打ちされているんですね。
ご存じの方も多いでしょうが、アニメーションは静止画像の集まりです。
その静止画像を連続して呈示することでキャラクターが動いているように見えたりするんですね。
例えば、授業中に退屈でノートの隅に何かキャラを落書きしてノートのページを連続してめくっていくとキャラが動くように見えますね。
こんな風に学生時代に「パラパラ漫画」風の落書きをノートの隅にしていた人も結構いるんじゃないかと思います。
あれも今回紹介した仮現運動がかかわっています。
すこし、パラパラ漫画の実例をみてみましょう。
参考動画
正直、クオリティが高すぎて真似するしないって次元ではないですが、パラパラ漫画の無限の可能性を感じさせてくれる素晴らしい作品ですね。
あと余談ですが、あの「ピングーシリーズ」でおなじみの粘土をつかったクレイアニメーションも少しづつキャラの動きを変えて撮影した写真を連続再生することで、あたかも動いているかのようにみえるというもの。
言わずもがな、これも仮現運動の応用です。
おわりに
この記事は「『仮現運動』動いていないのに動いているように見えてしまう不思議。」と題しておおくりします。
仮現運動は非常に大雑把に言うと、「動いていないのに動いているように見えてしまう現象」のことであり、アニメーションや映画にも応用されているものでした。
わたし達の生活の中には人間の認知特性に関する研究や知見を大いに応用したものが沢山あります。
日常のありふれた現象も「なんでこんな風に感じるんだろう?この感覚って不思議だな?」なんて疑問を持ったら、その背後には意外な心理現象が隠れているのかもしれませんね、、、。
そう考えると、何気ない日常も面白いことであふれているといえそうです。
では!
参考
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E7%8F%BE%E8%B1%A1
参考記事等
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