「最近、友人が自分の子供がついに反抗期に入ったんじゃないかって話をしていたんだよね。その話をきいて『ああ、もうそんな時期か』って思っていたんだけど、友人から『でも、反抗期じゃない可能性もあるからね』なんていわれたのよな。正直、『ん?どういうこと?』て思ったしまった。」
うん、そうねえ。
反抗期ではないのに反抗期的な行動を子供がとることはあるのよな。
オニギリス!
今回もよろしゅう!!
今回の話題は「『反抗挑発症』もしかしたらそれ反抗期じゃなくて病気かも?『反抗期』」という話です。
今回の記事は以下のような方に向けておおくりします。
- 反抗期について少し詳しく知りたい人
- 反抗挑発症について知りたい人
今の日本では一般的に「子供には反抗期がある」ということが信じられているとおもいます。
確かにその考えはながらく支持されてきました。
でも、実は「反抗期に見えるけど反抗期ではない」ということもあるんですね。
しかも、反抗期自体は必ずあるものではないって説も実はあります。
今回はそんな反抗期にまつわるお話。
では、ゆるりとおおくりします。
目次
反抗期ってなんぞ?
まず、反抗期について見ていきます。
反抗期とは精神が発達していく過程において、他者からの指示に対して拒否や抵抗を示したり、反抗的な行動をとることが多い時期のこと。
そして、この反抗期には幼児期の第一反抗期と思春期、青年期前期の第二次反抗期の二つがあるといいどちらも個人差が大きいといいます。
※思春期とは12、13歳ごろ。青年期とは10歳代~20歳半ばごろまでの時期。
では、以下2つの反抗期について簡単に説明しておきます。
・第一次反抗期(イヤイヤ期)
子供によって個人差はあるものの、歩行開始時期から2歳ごろの幼児期に出現するといいます。
なお、子供は自分で「この人になら甘えが許される」と判断した場合に、特定の大人に対して反抗するんですね。
ちなみに、第一次反抗期がイヤイヤ期といわれるのは子供が自分の意思を表現する手段として「イヤイヤ」と駄々をこねるからだとか。
・第二次反抗期
第二次反抗期については個人差はあるものの、小学校の高学年から中学生の思春期に起こるとされています。
中には反抗期がない人もいるとか。
思春期では急激な体の成長だったり変化に精神の成長が追い付かないので、学校等(先輩後輩といった上下関係を含む)といった生活環境の変化により反逆心が芽生えたりするといいます。
そして、その反逆心が反抗期を生じさせるというわけです。
反抗期は一般にはマイナスのイメージを持たれていたりすることもままありますが、一方で反抗期はアイデンティティの確立には必要不可欠とする立場も存在してますね。
ちなみに、(第二次)反抗期における主な行動や行動の例が以下。
- 暴力的な言動
- あいさつや返事をしなくなる
- 人やモノに八つ当たりする
- 自室に閉じこもる
- 飲酒や喫煙をする
- 不良行為をする
などなど
なお、反抗期への対応としては必要以上の干渉をしないで自然体でいられる環境を作ってあげることが大事であるそうです。
反抗挑発症は反抗期とは違うよ
さて、反抗期というと上述のような反抗的な行動が多いので、思春期前後の自分の子供が反抗的な態度をとっていると「あー、こりゃ反抗期が始まったか、、、」なんて考えがちです。
でもね、、、必ずしも反抗期であるとは限りません。
実は、反抗期と間違えやすいものに「反抗挑発症」というものがあるんですね。
反抗挑発症の定義は以下。
反抗挑発症は,権威者に対して否定的,反抗的,または敵意的な行動を反復的または持続的に起こそうとする状態である。診断は病歴に基づいて行う。治療は,個人精神療法と家族または養育者に対する治療法による。ときに,易怒性を抑えるために薬剤も使用される。
引用
まあ、これだけ見ると「なんだ、反抗期と同じじゃないかい!!」とツッコミたくなると思いますが、反抗挑発症は立派な病気です。
ただ、その有病率については診断基準が主観的なためにその推定値にばらつきがあるといいます。
なお、反抗挑発症に典型的な兆候や症状は以下のとおり。
・繰り返し,かつ容易にかんしゃくを起こす
・大人と口論になる
・大人に反抗する
・規則に従うことを拒否する
・故意に人の気に障ることをする
・自分のミスや不正行為を他人のせいにする
・容易に不快になるまたは腹を立てる
・悪意に満ち意地が悪い
多くの患者はまた社会的技能に欠ける。
引用
そして、臨床での診断基準には小児に上記症状のうちの4つ以上が最低6カ月にわたって認められる場合というのがあるんですね。
反抗期にある小児や青年には軽度~中程度の反抗行動が周期的に認められるといいますから、「どのくらいの期間に渡って反抗行動が続いているか」という期間が重要だってことですな。
そして、その原因については不明とのこと。
ただし、大人たちが騒々しく論争したり衝突しあっている状況にある家庭の小児に最も多く発生していると考えられているそうです。
つまり、父親が母親をDVしたり怒鳴りあったりして居る家庭なんかは要注意ってことでしょうか、、、。
まあ、わたしは医師ではないので厳密に「反抗期の反抗行動と反抗挑発症の症状を区別する」ということはできませんが、まあこういったものもあるんだなあと胸の奥にしまっておくのもいいかと思うのであります。
本当は反抗期なんてない?
さて、一般的な認識でいえば「反抗期は存在する」し、さらに言えば上述のように、「反抗期がないとアイデンティティの形成に問題がおこる」なんて考え方もあります。
このような青年期の危機、つまり青年期に葛藤を経験をすることが個体発生の上で必然(当然起こるもの)であるとする考えを「青年期危機説」というんですな。
で、これに対して青年期に葛藤を経験することは必然ではないとする説もあり、そのような説を「青年期平穏説」といいます。
青年期危機説では親や教師といった大人や社会、権威といったものとの対立や葛藤、反発を経て大人になっていくとしているんですな。
この時期の子供は自我が急速に成長して独立した一個の人格を確立しようとしています。
いうなれば、精神的自立を果たそうとしている時期なんですね。
自立への欲求とそれに伴う葛藤を経て人は子供は大人になっていこうとするわけです。
しかし、近年では青年期平穏説に基づく研究も散見されるといいます。
例えば、日本では以下のようなことが言われているようです。
- 反抗現象は青年期の一般的な特徴ではない(宮野(1984)による)
- 第二反抗期ではむしろ多くの親子関係が良好である(深谷(2004、2005))
なので、「一概に反抗期がなかったからうちの子はこれからどうなるか、、、」みたいに悩むのも違うのかもしれません。
まあ、正直反抗期が必然か否かについてはまだまだ確定できないといっていいと思うんですね。
なので、「反抗期ってあることもあるしないこともある」くらいのざっくりした考えを持っておくと何となく気が楽なのではないでしょうか?
まあ、わたしがこの記事で言いたいことは結局のところ「青年期に必ず反抗期はあるものだ!」という思い込みはやめたほうがいいと思うよってことです。
「反抗期が来なかったから~」みたいに考えると親にとっても子供本人にとってもしんどいですから。
ただ、上述したように6か月以上も反抗的な態度が続いているとなればすこーしだけ反抗期とは別の可能性を考えてみるのもありかもしれません。
おわりに
この記事は「反抗期っぽく見えても実は反抗期ではないかもしれない件」と題しておおくりしました。
「反抗期は必ずあるもの」という意識は結構現代の日本では普通のことだと思います。
しかし、実際にはどうなのか?というとまだまだ到底確定できないだろうなって話です。
そして、中には「この子は反抗期だから、、、」なんて思っていたら反抗挑発症であったなんてこともあるかもしれません。
もし、6か月以上にわたって反抗行動が続くようならすこーし可能性について思いを巡らしてもいいかもしれないです。
ただ、どんな時もですがやはり基本は「干渉しすぎない」ことが大事だと思いますねえ。
ま、うちの親も過干渉気味で結構イライラしたもんですわ(笑)。
あ、余談でした。
では!
参考
http://www.ed.ehime-u.ac.jp/~kiyou/2013/pdf/03.pdf
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/attach/1282789.htm